親からのお金、どう運用するべきですか?
吉住京子
メルボルン在住のオーストラリアでは珍しい日本人ファイナンシャル・プランナー。
難しいお金のことを分かりやすくアドバイスする「お金の専門家」として、個人からビジネス・オーナーまで幅広いクライアントを持つ。日本人コミュニティー向けメディアでの連載記事やセミナーなどでも活躍中。
[ www.fpkyoko.com.au ]
シニア・ファミリー ケーススタディー
現状: 私はオーストラリア永住、国際結婚をして子供がいます。親は日本、まだ仕事をしていて、オーストラリアの銀行の定期に親名義で現在$1.5Mにあります。当分必要ではないお金です。定期が満期になるまで利率がもらえないので、飛行機の手配などをしてあげるときに少し不便を感じています。
これからの予定: 年に一回親の来豪。予算$10K。
質問: 私や孫のために投資したいと言っていますが 、リスクはあまりとりたくないですが、銀行に置いておく以外にどのようなオプションがありますか?
FP Kyokoからのコメント
ご両親はオーストラリアでは非居住者になるので、投資運用を考える際には税金、タックスリターンの有無、エステートプラン、融通性、非居住者でもできる投資方法など考える要素がたくさんあります。 また年齢を考えるとリターンはそこそこあって、リスクが低いものがいいですよね。
とてもいい戦略方でもタイミングが合わないとベストな解決策にならないので、まずはどのくらいの期間の投資をするのか考えることが大切です。
オーストラリアに来るためのチケットや生活費を支払えるように必要になると予想される$10Kほどのキャッシュはすぐにアクセスできるようにしておきましょう。もしくは毎月支払われる利率を再投資せず、銀行に振り込んでもらう、数日アクセスの利率の良いアカウントに入れておくこともできますね。
さてその他のお金の投資先のオプションを考えてみましょう。
まず現在されている、銀行の定期預金ですが、悪いオプションではないですね。
元本保証で利率も保証されています。
日本の親の名義で銀行に預けているなら、定期にしろ普通口座にしろ10%の税金を自動的に支払っているアレンジメントになっていると思います。このやり方だとオーストラリアでのタックスリターンをする必要がないので、シンプルなマネージメントになります。
しかしデメリットは利率。日本の銀行よりはいいですが、最低限のリターンしか見込めません。満期ではなく、毎月利率をもらうようにアレンジできる銀行もありますが、そうすると利率が下がる場合が多いようです。
定期年金(アニュイティー)にすると期限を1年から50年と選ぶことができます。定期預金と同じで、元本保証、利率も加入時に確定するのでロスするリスクもありませんが、レートは定期預金より少し良くなります。
もしあなたが学生をしていたり、産休中で所得のないときなど、利子プラス元本を切り崩して、毎月支払いがされるようにアレンジすることもできる融通がきく商品です。また日本とオーストラリアは租税条約があるので、両国からの課税をしないという協定のもと、オーストラリアでの課税をしていない定期年金もあります。
この二つより少しリスクをとるとレートはかなり良くなります。ターム口座や固定金利のファンドでは5%から6%以上利率を支払ってくれます。レートは変動制なので、上がることもありますが、下がったとしても定期預金よりレートはかなり良くなっています。
どの会社を使うのかで取り出しのルールやレートは変わりますが、だいたい1年の契約です。これも定期預金のように非居住者には10%の税金が自動的に徴収されますのでタックスリターンは不要です。
銀行定期預金 | 定期年金・アニュイティー | ターム口座や固定金利ファンド | |
期間 | 3ヶ月、6ヶ月、1年など | 最低1年から最高50年ほど | 二日〜1年 |
期間 | 3ヶ月、6ヶ月、1年など | 最低1年から最高50年ほど | 二日〜1年 |
利率 | 期間によって2%から2.7% ほど | 3%ほど スペシャルレートがある期間や週によってレートが違う | 3%〜6%以上 |
リスク | リスクなし | リスクなし | ローリスク (レートの変動がリスク) |
元本保証 | 元本保証 | 元本保証 | 元本保証ではない |
非居住者への税金 | 10%自動支払い | なし | 10%自動支払いも可 |
今銀行から2%のリターンをもらっているとしたら$30,000、 利率が5%だと違いは$45,000も増えます。この差が3年、5年、10年と続くとかなり大きいです。
2% | 3% | 5% | 6% | |
$500,000 | $10,000 | $15,000 | $25,000 | $30,000 |
$1M | $20,000 | $30,000 | $50,000 | $60,000 |
$1.5M | $30,000 | $45,000 | $75,000 | $90,000 |
$2M | $40,000 | $60,000 | $100,000 | $120,000 |
状況やタイムフレームによって戦略方は変わってくるので、詳しくは専門家に聞いてみましょう。