ちょっと気になるお金のはなし

15年でローンを払う方法

吉住京子
メルボルン在住のオーストラリアでは珍しい日本人ファイナンシャル・プランナー。 難しいお金のことを分かりやすくアドバイスする「お金の専門家」として、個人からビジネス・オーナーまで幅広いクライアントを持つ。日本人コミュニティー向けメディアでの連載記事やセミナーなどでも活躍中。
[ www.fpkyoko.com.au ]

スーパーアニュエーションが昨年度から家の購入のために引き出せるようになったり、スタンプ・デューティーがディスカウントされたりすることで、自分の家の購入に踏み切る人も多いですね。

30年のローンを組んで、50万豪ドルを利率4%で借りて月々の支払いが2,388豪ドル。賃貸とあまり変わらない金額でローンが支払えるなら最高ですよね。銀行もテレビもブローカーもホーム・ローンのレートがどれだけ安いかを宣伝しているので、皆さんはより安いローンを探そうとするはずです。しかし、実は私たちは一番大切なことから目を逸らされているのです。

オーストラリアの4大銀行は毎日8,200万豪ドル、年間300億万豪ドルの利益を得ているそうです。銀行がどうやってお金を作っているか知っていますか?皆さんの口座や定期預金に入っているお金をホーム・ローンやパーソナル・ローン、クレジット・カードとして貸し出し、利率を4%、10%、18%として稼いでいるのです。

しかし、皆さんの口座には利子はほとんど付きませんし、定期預金でも利率は3%もありません。銀行は皆さんのお金を使って上手に利益を得ています。

銀行はローンのレートも掲げていますが、自分の家の購入のために借り入れをする時に一番大切な数字は"合計支払い金額"です。50万豪ドルの借り入れをして30年の支払いだと、実は85万9,000豪ドル以上を支払うことになります。そのうちの35万9,000豪ドルは銀行の利益です。もし15年でローンの支払い終えると合計は66万5,615豪ドルになり、銀行へ支払う利子は16万5,615豪ドルです。20万豪ドル近くの差が出るんです。

20万ドルを貯金しようと思うと毎年1万ドルを4.5%の利率で15年積み立てる必要があります。ローンも支払って20万ドルの貯金をするのは難しいですよね。

また毎月支払いをしているのに、1年が終わって見たステートメントには借り入れ金額が数千ドルしか減っていないのを疑問に思ったことはないですか?オーストラリアのホーム・ローンは「Front end loaded」となっており、最初の15年に銀行へ支払う金利が集中しています。多くの人はローンが減らないので、もっと安いレートを求めてリファイナンスし、そしてまた30年のサイクルが始まるという悪循環を繰り返すのです。

自分でお金の管理をしてコツコツ支払うのが苦手な人は、お金のコーチのサポートが付くローンを通して、15年で返済してしまうのはどうでしょうか?