ちょっと気になるお金のはなし

成功する為の非認知能力

吉住京子
メルボルン在住のオーストラリアでは珍しい日本人ファイナンシャル・プランナー。 難しいお金のことを分かりやすくアドバイスする「お金の専門家」として、個人からビジネス・オーナーまで幅広いクライアントを持つ。日本人コミュニティー向けメディアでの連載記事やセミナーなどでも活躍中。
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親が4つの基本的しつけ 1: 嘘をついてはいけない、2: 他人に親切にする、3: ルールを守る、4: 勉強をするということを教えたかどうかで、子供が大人になってからの年収に86万円の差が産まれるという結果が 神戸大学の研究で明らかになっています。

ノーベル経済学者のジェームズヘックマンも「非認知能力」が人生を左右する鍵だと言っています。教育への投資と人生の成功には強いつながりがあるようです。
自分の人生、そして親の皆さんは子供の将来をどう成功に向かわせることができるか考えてみましょう。

親としては子供のIQや学校の成績は気になると思います。しかし時代も変化しているようです。ある小さな輸入会社は最初から学歴は求めてはいませんが、「語学堪能な人」を最優先に採用していました。 しかし最近はそれもやめて中学、高校を通して一つのスポーツに打ち込んできたようなタイプを歓迎するようになったそうです。非認知能力が高いと仕事の基本はすぐ覚えるし、最初はカタコトの英語でもやっているうちに必要最低限は喋れるようになるからだそうです。

IQが示すようなテストを解く能力は人生の諸問題を解決する能力と同じではありません。人生で実際に直面する試練は別の能力   遠いゴールに向かって、興味を失わず、努力し続ける「やり抜く力」が必要になります。そのほかに非認知能力には意欲、忍耐力、自制心、自分の状況を把握する「メタ認知ストラテジー」リーダーシップや社会性、すぐに立ち直ったり対応できる「回復力と対応能力」創造性、好奇心などあります。

「頭がいいのね」ともとから持つ能力を褒めるのではなく、「よく頑張ったね」と努力の内容を褒めるようにすると子供は努力を認められたことを喜び、より難しい問題に粘りつよく挑戦するようです。計画的に宿題を終えたり、積極的に質問したり、良好な関係を大切にするなどの能力は社会に出てからも年収、成功、健康や幸福感など多岐にわたる効果を発揮します。

非認知能力を養うことは幸せにつながる鍵なんですね。

大人になってからでも遅くはありません。 1日30分でもいいからランニングを継続するなど非認知能力を鍛える方法はあります。「根性を鍛えろ」というのではなく、これまで避けてきたことを仕組み化して習慣にすることに意味があります。こうして経験の積み重ねによってIQとは違う能力が鍛えることができます。