ちょっと気になるお金のはなし

ダウンマーケット対策 - Dollar Cost Averaging -

吉住京子
メルボルン在住のオーストラリアでは珍しい日本人ファイナンシャル・プランナー。 難しいお金のことを分かりやすくアドバイスする「お金の専門家」として、個人からビジネス・オーナーまで幅広いクライアントを持つ。日本人コミュニティー向けメディアでの連載記事やセミナーなどでも活躍中。
[ www.fpkyoko.com.au ]

スーパーに積み立てられたお金は投資運用されているので、投資のやり方によっては上り下がりが生じます。
スーパーのステートメントを見て「バランスが下がっています。投資内容を変更したほうがいいですか?積み立てをやめた方がいいですか?」という質問をよく受けます。

まず投資の基本の「安く買って、高く売る」というのを覚えておいてください。頭で分かっていても、投資が下がると心配になり、売ってキャッシュにして持っておきたい。投資がうまく言っている時にはどんどん上がっているのでその時に買いたいと行動してしまうのが人間の心理です。しかし優れた投資家というのは一般の人と正反対の行動をとるのです。投資が下がっている時にはチャンスだと考えます。
でも安値がいつ、いくらなのか、高値はいつ、いくらなのか投資のプロでも振り返ってみないと分からないですよね。考えすぎてチャンスを逃すことも多々あると思います。

ドルコスト平均法(Dollar cost averaging)という考え方を知っていますか?
投資市場がどうあろうと、ある一定の金額で定期的に投資することで タイミングを見計らうのではなく、資産の積み立てにフォーカスするという考えです。下がり続ける質の悪い投資には当てはまりませんが、クオリティーの高いファンドなどに対しては大きなダウンマーケットの影響のリスクを低くすることができ、市場の上り下がりに対しての精神的心配も最小限に抑えることができます。

例えば1月に$100,000を投資、一株$100で$1000株購入したとします。不況の影響で12月には一株$70まで下がったとします。$30,000のロスです。しかし$25,000づつ3ヶ月おきに$100、$90、$80、$90の時に4回に分けて投資した場合はどうでしょうか? 市場が下がっている時にはもっと株を買うことができ、上がっている時には買える株の数は少なくなります。12月には1,197株を購入したことになり、マーケットバリュー($70 x 1197)は$83,811。$16,210のロスとなります。$30,000のロスよりかなりましな結果ですね。
もし12月に一株$90になっていた場合はどうでしょうか? $100,000で購入した場合は$10,000のロスですが、上記のように4回に分散した場合1,162株を所有し、マーケットバリューは($90 x 1,162)$104,580となり$4,580のプロフィットです。

このやり方は初心者の積み立て投資や、保守的な方でスーパーなど投資信託(バランスオプションなど)に 長期投資を考えている方にも向いています。