ちょっと気になるお金のはなし

何もしないと損をする?

吉住京子
メルボルン在住のオーストラリアでは珍しい日本人ファイナンシャル・プランナー。 難しいお金のことを分かりやすくアドバイスする「お金の専門家」として、個人からビジネス・オーナーまで幅広いクライアントを持つ。日本人コミュニティー向けメディアでの連載記事やセミナーなどでも活躍中。
[ www.fpkyoko.com.au ]

日本人の多くが投資に対して保守的で多くの方が銀行にお金を置いています。私の日本の親の時代は 銀行に10年入れておけば倍になったと言っていました。物価は高く、利率は低い現在のオーストラリアの経済状況と日本で親の経験してきたこととはかなり違います。
オーストラリアに長年住んでる方はどんどんと家の値段が上がっていくのを見てきています。「買っておけばよかった」と思う方も多いのではないでしょうか?

そんな中ご自分のお家を買った方は支払いをどんどんするのがオススメです。オーストラリアのホームローンは最初の15年に銀行への支払いの利子がたくさん詰め込まれていますので、なるべく早く返してください。しかし自分の住みたい家への購入に手が出ないという方は何らかの形で資産作りをと将来へのセキュリティーを固めたいですよね。
まず知っておいて欲しいのは何もしないことのリスク。お金を銀行に置いておくというのはこの金利の低い世の中、危ないことなんです。元本割れはしませんが、インフレが2%だとしたらお金の価値はどんどん下がっていることになります。
インフレの怖いところは私たちの気づかない間に少しずつ上がっていっているところです。20年前は$20で1週間分の買い物ができたのが、今では洗剤やトイレットペーパーを買うとすぐ$20になってしまいます。
2.5%のインフレでは現在$30のミルクが30年後には倍の$6になっています。今の$1000の価値が10年後には下がっていることになります。

意識が薄くこの状況に気づかないで過ごしていると、お金の価値がどんどん下がっていくことに対策を持っていないので、将来、特に老後に困ることになります。
その逆に大きなリスクを取らなくても5%、6%のリターンを毎年積み立てているとどうでしょうか?複利の原理を使ってみてみましょう。$10,000の元本を投資し、毎月$100ずつ積み立てます。5%の利率では30年後には$122.946になっています。元本の$10,000と積み立てた$36,000の上に$76,946の利子が払われることになります。これが6%だと$152,305になっています。これは最小限のリスクで出せる結果です。自分の状況に合わせて、着実に増やしていく手段を専門家に相談しましょう。きっと良かったと思う結果が得られると思いますよ。