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今年の夏は釣りにチャレンジ!

ビギナーでも楽しめる桟橋釣り

青い空と青い海。いよいよ本格的な釣りシーズンの到来に、アデレード近郊のジェティー(桟橋)には釣り竿を構える人達の姿が多く見られるようになってきた。"釣り人"といってもここではみんなカジュアル。子どもたちも交じって思い思いの釣りを楽しんでいる。潮風が吹き抜ける心地いいジェティーにブラリと釣りに出掛けてみては?

アデレード近郊のジェティーでよく釣れる魚といえば、Tommy Ruff、Mullet、Garfish、そしてイカやBlue Swimmerと呼ばれるワタリガニ。どれも釣って楽しい、食べておいしい海の幸だ。ここではそれぞれの魚の特徴や釣り方、注意点などをまとめてご紹介。オーストラリア国内で唯一、ライセンス(入漁証)なしでレジャーフィッシングを楽しめる釣り天国、南オーストラリア州で釣りを楽しもう。

Tommy Ruff / トミー・ラフ(ニシン科)
マスの幼魚と似ているが、背びれがシルバーで先端が黒いのがTommy Ruff。"Tommy"の愛称で子どもたちにも親しまれている。体長は15-20cm程度。釣った魚はサイズの制限なく持ちかえることができるが、数は1人60匹まで。塩焼きやホイル焼き、フライなどにして食べるとおいしい。

Mullet / マレット(ボラ科)
日本ではボラと呼ばれ、河口や海でよく釣れるポピュラーな魚。Tommy Ruff同様、ビギナーにも最適。30cmの"大物"も交じるため、魚の"引き"を楽しむこともできる。釣った魚には持ちかえりのサイズ制限があり、21cm以下のMulletは釣ったあとすぐにリリースしなくてはいけない。持ちかえりは1人60匹まで。こちらも塩焼きやホイル焼きなどで。

Tommy RuffとMulletの釣り方
仕掛けの先端のらせん状の部分にコマセ餌を手でギュッと握ってつけ、針の部分にはGents(日本ではサシと呼ばれる蝿の幼虫のこと)などの生き餌を刺してジェティーから軽く投げるだけ。"ブルッ、ブルッ"とアタリがきたらすぐにリールを巻こう。ジェティーの上から魚が泳いでいるのが見えるときは、魚の近くにそっと仕掛けを下ろして竿を軽く上下するとコマセ餌に集まってきた魚が針に掛かるのを見ながら臨場感あふれる釣りを楽しめる。

Garfish / ガーフィッシュ(サヨリ科)
日本でいうサヨリで、ダーツの矢のように口が細く突き出しているのが特徴。ジェティーの周りを群れをつくって泳いでいるので、1匹釣れたらタイミングを逃さずにドンドン釣りあげるのがコツ。見た目同様、味も上品でおいしい。持ちかえりのサイズ制限は23cm(*)、数量は60匹/人まで。
(*)細長い下あごではなく、短い上あごから尾びれの先までの長さ

Garfishの釣り方
ウキを使った仕掛けが一般的。Gentsなどの生き餌を針につけて海面を流すようにして表層を泳ぐGarfishを狙う。

Squid(イカ)
昼でもOKだが、日が沈んでからの方がチャンスの多いイカ釣り。イカが好むエビに似せたルアー(釣り針付きの疑似餌)でイカを誘うため、海中に投げたルアーはエビが"ピュン、ピュン"と動いているように見えるように釣り竿を引いて、リールを巻く動作を繰り返す。イカがルアーを追いかけてくるのが見えることも多いが、イカがルアーに掛かると"水の中のバケツを引っ張る"ような感触があるため、そうしたらゆっくりとリールを巻いてイカを引き上げる。釣り針への掛かりが浅いこともあるため、イカをジェティー際まで引き寄せたらできれば網を使ってすくいあげた方が安全。釣り上げたばかりのイカは透明感があってとてもきれい。持ちかえりのサイズ制限はないが、数は1人15杯まで。

イカ釣りワンポイント!
- 針を外すときイカはスミを出すこともあるので、スミの出る方にいないようにする。(自分の体から見てイカを横向きにして持てばOK)
- 1杯釣れた場所にはまだほかにもイカがいる確率が高いので、すかさず同じポイントにルアーを投げる

Blue Swimmer(カニ)
その名の通りきれいな青い足でスイスイと水中を泳ぐワタリガニ。カニ獲り用のネットの中にTommy Ruffなどの魚の切り身やCockleなどの貝の身を入れ(肉類など元々海に存在しないものを使用することは禁止されている)ジェティーから投げ入れたり、砂地の浅瀬でカニ獲り用の熊手で直接カニをすくい上げることができる。ジェティーの場合、上から覗いているとカニがネットに入っていく様子が見えることも。Crab rake(カニ用熊手)を使う場合は、砂地を奥から手前に引いて"ガツッ"とカニと接触したらすぐに熊手を180℃回転させながら素早く海面まで引き上げるのがコツ。持ちかえりのサイズ制限は甲羅の左右の一番広いところが11cm以上、数量は40杯/人。卵を持っている雌ガニも持ち帰り禁止で、見つかったら罰金。

アデレード近郊のジェティー
アデレード近郊には所々に大小様々なジェティーがある。市内から比較的近いところではセマフォー、ヘンリービーチ、グレネルグ、ブライトンなど。フルリオ半島にはセカンドバレー、ラピッドベイ、ビクターハーバー、ポートエリオットなど。また、セントビンセント湾の対岸となるヨーク半島にはアルドロッサン、ポートジュリア、スタンズバリー、ウールベイ、ポートギルス、イーデスバーグなどがある。
中でも、ヨーク半島のアルドロッサンは"Blue Swimmerの故郷"とも呼ばれるほどカニがよく獲れる。(ジェティーではないが、アデレードから北へわずか45kmのポート・ガウラーもBlue Swimmerが沢山獲れることで有名)。ヨーク半島をずっと南下したところにあるウール・ベイの短いジェティーはイカ狙いの穴場。

番外編
潮干狩り
PiPiの名で親しまれているGoolwa cockleを獲るなら、その名の通りフルリオ半島のビクターハーバーにほど近いグールワへ。日本のあさりとはまぐりの間のような形と大きさ、そして味をしている。PiPiの持ちかえりのサイズは3.5cm以上、数量は1人300個まで。持ちかえったPiPiを保存して次回のイカ釣りのエサとして使うのもよい。

*マナーにご注意
魚の持ちかえりのサイズや数量を守ることはもちろん、釣り場ではゴミの管理にも細心の注意を。突風が吹くこともあるジェティーでは、ビニール袋など軽いものは荷物の下に置くなど海に飛ばされないようにしたい。海の公害は釣り人のマナーにもあるという事をお忘れなく!

取材・画像協力: J-Talk 圭子さん
北海道出身で大の釣り好きの圭子さん、AJAやツアーガイドで大活躍の京子さんを中心に十数名のメンバーで構成される「日英バイリンガル・ラジオショー J-Talk」は毎週金曜日21:00から好評オンエアー中。http://jtalk.de.gozaimasu.su/

編集: 2010年12月