夏真っ盛り! クリケットの季節をエンジョイしよう!
クリケットを楽しむための基礎知識
17世紀以降、イギリスから世界中へ伝わったクリケット。野球の硬式球より少し重めだがほぼ同じ大きさのボールを、船のオールのような形のバットで打ち返すスポーツだ。日本ではあまり馴染みがないが、実は世界100カ国以上で愛され続け、今やサッカーに次ぐ世界第2位の競技人口を誇っている。もちろん、オーストラリアでもクリケット人気は絶大で、シーズン中は競技場に足を運ぶファンばかりでなく公園やビーチでクリケット草試合を楽しむ人たちをよく見かける。オーストラリアの夏を語るに欠かせないクリケットをもっと知って、今年の夏は観戦、そして実際のプレイにもチャレンジしてみよう!
ルール
試合は、それぞれ11人から成る2つのチームが攻撃側と守備側に分かれて対戦し、攻撃の回により得点を多くとった方が勝者となる。攻撃側は、まずバッツマン(打者)が2人、ウィケットと呼ばれる3本杭の前に立つ。(実際にボールを打つ打者をストライカー、ストライカーの反対側でランナーとなる打者をノンストライカーという)。3番以降のバッツマンはベンチで自分の打席を待つ。守備側はボーラー(投手)とウィケットキーパー(捕手)が1人ずつ、そして9人のフィールダー(野手)から構成される。
クリケットのルールは野球とよく似ている。実はイギリスから伝わったクリケットをもとに、アメリカで新しいスポーツとして考案されたものが野球なのだ。しかし、クリケットと野球の大きく異なる点は、野球は攻撃側が攻め、守備側が守るのに対し、クリケットではこれが逆転する。クリケットは基本的にバッツマンの後ろにあるウィケットの攻防になり、攻撃側のバッツマンはボールを遠くに飛ばしてウィケットを守ることで得点を稼ぎ、逆に守備側はアウトをとるためにウィケットを倒そうと攻める。 ボーラーの投げ方も野球のピッチャーとは異なる。クリケットでは助走をつけて投球することが許されるが、肘を曲げて投げてはいけない。また、バッツマンの場合は、フィールドの中心から360度どの方向にも打てるので野球のようなファールボールがない。さらに打球の飛距離が伸びずに走ってもクリースラインを越えられないと判断すればその場に留まることも可能だ。そのような野球との違いを探しながら、クリケットを見るのも一つの楽しみだ。
得点の方法
ストライカーが投球を打ち返し、ウィケットを倒されるより先に、ストライカーとノンストライカーがそれぞれ反対側のクリースラインを走って越えれば1得点となる。さらに、ボールを遠くに打った時は、1往復、1往復半、2往復などすることができ、2人ともラインを越えるごとに2点、3点、4点と得点が入る。
打球がバウンドしたり転がりながらフィールドの境界線に達した場合は、走らずして4点が入る。
飛球がフィールドの境界線を越えれば、同様に走らずに6点獲得できる。
アウトとなるケース
ボーラーの投球をバッツマンが打てずに、ウィケットにボールが当たった。
フィールダーがノーバウンドで打球をキャッチした。
打った後、バッツマンがクリースラインに達するより先に、守備側がウィケットを倒す(ボールを投げて倒しても、ボールを持った手で倒してもよい)。
バッツマンが、投球がウィケットに当たるのを足で防いだ。
クリケットではアウトをとるのが難しいので、伝統的な試合形式であるTest Match はたった2回のイニングにも関わらず、試合終了まで5日間かかることもある! そこで最近は、ボーラーの投げる投球数を50オーバー*(300球)に限定した1イニング制のOne day Cricket と20オーバー(120球)に限定した同じく1イニング制のTwenty 20という形式が主流になりつつある。投球数に限りのある試合では、ボーラーは積極的に打ちにいく必要がある
*ボーラーの投球数をオーバーといい、1オーバーは6投。
南オーストラリアのクリケットチーム
南オーストラリアのチームはTest MatchとOne day Cricket の試合をするSouthern Redbacks(West End がスポンサーのためWest End Redbacks と呼ばれることもある)とTwenty 20の試合をするAdelaide Strikersがある。Redbacksは昨シーズンは1 Day Matchで優勝を果たした。今シーズンは、スピンする投球を武器にオーストラリア代表として国際大会でも実績を残してきたNathan Lyonをチームメイトに加え、1 Day Matchの連続優勝と他の試合形式での優勝も目指している。
● Southern Redbacks : http://www.redbacks.com.au/
● Adelaide Strikers : http://www.adelaidestrikers.com.au/
執筆協力:Mr. Simon Chandler
編集:2012年12月