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南オーストラリアにカプセルを無事に届けた「はやぶさ2」、新たな旅路に出発

地球から約22万キロメートル離れた宇宙空間で小惑星探査機「はやぶさ2」から分離されたカプセルが2020年12月6日午前4時頃(南オーストラリア時間)、地球の大気圏に突入し、南オーストラリアの上空で大きな流れ星のような火球となって観測されました。カプセルは高度約1万メートルでパラシュートを開いてウーメラの砂漠地帯に着地。その後JAXAなどの回収隊によって、完全な状態で無事に回収されました。「玉手箱」と呼ばれるカプセルには「はやぶさ2」が小惑星リュウグウで採取した石や砂が入っているとみられ、太陽系の成り立ちや生命誕生の謎に迫ることが期待されます。

クーバーペディの火球

(C) JAXA

クーバーペディの火球

(C) JAXA

クーバーペディの火球(動画)

(C) JAXA

TCM-5(地球圏離脱のための軌道修正)の成功を確認し、喜ぶプロジェクトメンバー

(C) JAXA

回収用ヘリコプターから撮影したカプセルの画像

(C) JAXA

回収作業の様子

(C) JAXA

回収作業の様子

(C) JAXA

「はやぶさ2」は2014年12月に地球を出発。2019年2月と7月に小惑星リュウグウへのタッチダウンを成功させて表面と地下の物質を採取、11月にリュウグウを出発して地球への帰還の途についていました。地球帰還までの総飛行距離は52億キロメートル以上に及びます。

行ってきます。地球(左下に見えるのはオーストラリア)

(C) JAXA、産総研、東京大、高知大、立教大、名古屋大、千葉工大、明治大、会津大

初代はやぶさは10年前の帰還の際、カプセルとともに地球の大気圏に再突入して燃え尽きましたが、「はやぶさ2」は見事にカプセルの分離に成功し、機体も健全なことから、分離後は地球圏を離脱して新たな旅路に向かっています。

「はやぶさ2」の新たなミッションの目的地は、地球と火星の間を回る直径約30メートル微小小惑星「1998KY26」。11年をかけたおよそ100億キロメートルの旅になりますが、その旅程で様々な試みを行いながら、高速自転する「1998 KY26」へのランデブーを目指します。また、再びターゲットマーカ投下やタッチダウンなどの難しいミッションにも挑戦する可能性も残されていて、まだまだ「はやぶさ2」から目が離せません。

「はやぶさ2」の拡張ミッション(JAXAはやぶさ2プロジェクト)
http://www.hayabusa2.jaxa.jp/topics/20201111_extMission/

「はやぶさ2」の新たな旅。目指せ未知の小惑星!

<日豪間の今後の取り組みについて>
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オーストラリア宇宙庁の拠点は南オーストラリア州にありますが、今後期待されるJAXAとオーストラリア宇宙庁の間での宇宙に関する取り組みについてJAXA広報部に問い合わせをしたところ、以下回答をいただきました。

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これまでも地球観測分野や小惑星探査機「はやぶさ」等での日豪間協力を行ってきましたが、2020年7月7日にオーストラリア宇宙庁とJAXA間で協力覚書を締結し、本締結は同年7月9日の日豪首脳会談においても触れられ、更なる協力関係の構築が歓迎されました。協力可能性分野として挙げている5つの分野(宇宙利用、宇宙技術 、宇宙環境利用 、宇宙科学及び宇宙探査、宇宙教育及びアウトリーチ)を中心に、多くの具体的な協力案件が創出されることを期待しています。
https://www.jaxa.jp/topics/2020/index_j.html#news16848

尚、宇宙環境利用分野では、具体的に以下の取り組みが行われています。
国際宇宙ステーション日本実験棟「きぼう」を利用した簡易植物実験(Asian herb in Space)
2020年10月以降の野口宇宙飛行士ISS長期滞在時の実施を計画しており、豪州の国花であるGolden Wattleの種子が宇宙を旅した後、豪州に返還され、オーストラリアにおける青少年の科学教育に役立てられる予定です。
英語 : https://iss.jaxa.jp/en/kuoa/news/200901.html
日本語 : https://iss.jaxa.jp/kiboexp/kuoa/news/200901.html

今後、更に日豪の研究機関・民間企業等も交えた協力活動を推進していきます。

取材協力 JAXA