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「はやぶさ2」搭載カプセルが南オーストラリアに帰ってくる!

2020年12月6日の未明、小惑星探査機「はやぶさ2」から大気圏に放たれたカプセルが南オーストラリア州ウーメラ地区(アデレード の北約450km)に着地します。

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(c)池下章裕

「はやぶさ2」の活躍は記憶に新しいところですが、「はやぶさ2」は地球誕生の謎に加えて、海の水の起源や生命の原材料となった有機物の起源を探るために、C型小惑星のリュウグウを探査してサンプルを持ち帰ることを目的として、2014年に旅を始めました。そして2019年2月と7月に小惑星リュウグウへのタッチダウンを成功させて表面と地下の物質を採取、11月にリュウグウを出発して地球への帰還の途についていました。それから約1年をかけて2020年12月に地球に戻ってくるわけですが、その場所が南オーストラリア州ウーメラ地区になるのです。

「はやぶさ2」について:https://www.jaxa.jp/projects/sas/hayabusa2/index_j.html

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(c)池下章裕

3hayabusa.jpg 着地点が南オーストラリア州ウーメラ地区になった背景は次の2つでした。
・「はやぶさ2」の軌道から、南半球で人口密度が低く、広く平坦で、安全が十分に確保できる場所。
・南オーストラリア州ウーメラ地区は「はやぶさ」で回収 した実績もあり、そのときの経験も活かすことが可能。

JAXAとオーストラリア宇宙庁(ASA)は、「はやぶさ2」再突入カプセルに対する着陸許可―Authorisation of Return of Overseas-Launched Space Object (AROLSO)に関する調整を昨年から行なっていましたが、2020年8月6日にAROLSOが正式に発行されています。
JAXAプレスリリース:https://www.jaxa.jp/press/2020/08/20200819-1_j.html
オーストラリア側のリリース:https://www.minister.industry.gov.au/ministers/karenandrews/media-releases/tick-given-asteroid-samples-land-australia

カプセルの着陸にあたり、「はやぶさ2」は地球圏でカプセルを分離した後再離脱、カプセルのみ大気圏に再突入して高度約10kmでパラシュートを展開させる予定です。

<地球帰還最終誘導フェーズ>
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(c)JAXA

< 「はやぶさ2」地球帰還、カプセル分離イメージ >
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(c)JAXA

< 「はやぶさ2」再突入カプセル>
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直径 : 約400mm、高さ : 約200mm、質量 : 約16kg(c)JAXA

<再突入飛行の概要>
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(c)JAXA
カプセルは開傘後、ビーコン信号を発信しながら降下・着地しますが、着陸予想エリア周辺にアンテナを5局配置してビーコン信号源の方向が探索されます。また、4局のマリンレーダによってパラシュートからの反射波の方向と距離が測定されます。カプセルの着地後は、ヘリコプターに搭載のアンテナで上空から探索が行われ、ドローンの空撮による画像解析での識別も併せて確実に回収される予定です。

<回収オペレーションの概要>
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(c)JAXA

<方向探索用アンテナ><マリンレーダシステム>
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(c)JAXA

また、回収したカプセルは、分解・清掃やガス採取と簡易解析を行い、空輸にて日本(JAXA相模原キャンパス)へ輸送されます。

<ウーメラでの回収作業>
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(c)JAXA

「はやぶさ2」はカプセルを分離した後、また深宇宙へ飛び立つ軌道に乗ります。この時、イオンエンジンの燃料(キセノン)は約半分程度が残る見込みで、新たなミッションも現在最終の検討が行われています。

「はやぶさ2」の旅はまだ続きますが、先ずは地球への帰還にあたって、「はやぶさ2」プロジェクトチームのサブマネージャであり、カプセル回収チームのリーダーを務める中澤暁氏に改めて「はやぶさ2」へのメッセージをいただきました。

「6年半の長い旅路をお疲れ様。初号機では大変だったイオンエンジン運用を今回は完璧に走破してくれてありがとう。カプセルを無事に受け取れるよう地上で待ち受けています。あと少し、頑張ろう。」

カプセルの帰還は12月6日。天候に恵まれれば、3:30 - 4:30AM(南オーストラリア時間)にウーメラ方向の空に流れ星のようなカプセルが見られるはずです。
「はやぶさ2」の偉業を称え、是非この貴重な機会にカプセル帰還の様子を見届けながら、宇宙や生命の起源に思いを馳せてみませんか。

<日豪間の今後の取り組みについて>
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オーストラリア宇宙庁の拠点は南オーストラリア州にありますが、今後期待されるJAXAとオーストラリア宇宙庁の間での宇宙に関する取り組みについてJAXA広報部に問い合わせをしたところ、以下回答をいただきました。

これまでも地球観測分野や小惑星探査機「はやぶさ」等での日豪間協力を行ってきましたが、2020年7月7日にオーストラリア宇宙庁とJAXA間で協力覚書を締結し、本締結は同年7月9日の日豪首脳会談においても触れられ、更なる協力関係の構築が歓迎されました。協力可能性分野として挙げている5つの分野(宇宙利用、宇宙技術 、宇宙環境利用 、宇宙科学及び宇宙探査、宇宙教育及びアウトリーチ)を中心に、多くの具体的な協力案件が創出されることを期待しています。
https://www.jaxa.jp/topics/2020/index_j.html#news16848

尚、宇宙環境利用分野では、以下2つの活動への参加が決定しています。

①国際宇宙ステーション日本実験棟「きぼう」内のドローンロボットを利用した教育目的のプログラミングコンテスト(Kibo Robot Programming Challenge)
豪州からは、14 チーム、64 名の学生が参加。2020年10月に「きぼう」にて各国地域の代表チームによる決勝戦が行われる予定です。
英語:https://jaxa.krpc.jp/
日本語:https://kiboaustralia.com.au/

②国際宇宙ステーション日本実験棟「きぼう」を利用した簡易植物実験(Asian Herb in Space)
2020年10月以降の野口宇宙飛行士ISS長期滞在時の実施を計画しており、豪州の国花であるGolden Wattleの種子が宇宙を旅した後、豪州に返還され、オーストラリアにおける青少年の科学教育に役立てられる予定です。
英語:https://iss.jaxa.jp/en/kuoa/news/200901.html
日本語:https://iss.jaxa.jp/kiboexp/kuoa/news/200901.html

今後、更に日豪の研究機関・民間企業等も交えた協力活動を推進していきます。
その他、南オーストラリア宇宙産業センターが主催し、オーストラリア宇宙庁が後援する第10回Australian Space Forumが11月25日にアデレードで開催される予定です。日豪の協力にフォーカスしたプログラムが予定されており、JAXA理事長もオンラインにて登壇予定です。

取材協力 JAXA