留学生インタビュー(小中高校)

やる気を持って前向きに! 豊田千裕さん(Chihiro Toyoda)

日本の中学校を卒業してすぐにアデレードにやってきた豊田さんは、2019年12月、充実した3年間の留学生活を無事に終了。2020年からオーストラリアの大学に新しいチャレンジを始める豊田さんに留学生活を振り返っていただきました。

Q1. 日本の中学校を卒業してすぐに留学しましたが、いつ頃から留学をしようと決めていましたか?

昔から英語には興味があり2週間などの短期留学にいつか行きたいなとずっと思っていました。本格的に長期留学をすることを考え始めたのは確か中学3年生の6月頃だったと思います。

Q.2 卒業留学を決心した理由を教えてください。

中高一貫に通っていた私は、高校生になったら学校が提供する1年間の留学プログラムに参加したいという気持ちが芽生えたのが始まりでした。1年間の留学で学べるものは、留学先の風習、文化、慣習、考え方、そして言語。1年間で学べるものはたくさんあると思います。でも、少し海外の事がわかる程度、少し英語が喋れる程度など、中途半端にしたくないという思いがとても強くありました。1年間の留学を経て日本の高校に戻り、私に何が残るのか考えた時、私には3年間の卒業留学が合っていると思ったんです。また、中学生だったあの頃、自分がどんな高校生活を送っていくのか、先輩方を見て想像する事が出来ました。自分の未来を想像できてしまうことにつまらなさを感じていたことをとても覚えています。

中途半端に終わらせるのではなく、必ず自分の強みにすること。そして高校生活が人生で一番頑張ったのだと言える3年間にしたいと。3つ上の兄が大学受験を頑張っている姿に背中を押され、自分のしたいことを一生懸命頑張りたいと思い卒業留学を決心しました。

Q.3 留学先はどのようにして検討しましたか?

インターネットで国の特徴や気候を調べたり、留学フェアに足を運んでみたり、留学エージェントとの無料カウンセリングに行ってみたりしました。
当時私の留学先の条件は安全で治安が良く、費用を抑えられる場所。日本人が少なく、海が近くて、気候も良い所。これらの希望を叶えられる場所を探していました(笑)。

Q.4 アデレードを留学先に選んだ理由は何ですか?

当時、治安の良さとコスト面からオーストラリアとニュージーランドでとても迷っていました。そんな時、母がアデレードに住むお友達に連絡を取り、現地の情報を聞いたところ、アデレードは私が希望するすべての条件を満たす場所である事が分かったのです。母の知り合いがいるという安心感もあり、アデレードに留学すると決めました。

Q.5 アデレードに着いた時はどのような気持ちでしたか?

留学前にオーストラリアに来た事は一度もなかったのですが、これから始まる知らない街での新しい生活に胸が高まり、ワクワクでいっぱいでした。もちろん不安もありましたが、楽しみの方がずっと大きかったです。
飛行機を降りて、アデレード空港で初めてホストファミリーに会う時は緊張しましたが、ホストシスター(当時6歳)がTOKYOと書かれたパーカーを自慢げに見せてくれて緊張がほぐれました(笑)。

Q.6 学校は先ずはISEC(集中英語コース)から始めたそうですが、どうでしたか? 

ISEC内ではもちろん授業は全て英語で行われます。英語が特別できるわけではなかった私は英語を聞き取ることがとても大変でした。先生の言っていることが理解できない、宿題が何か分からない。授業内容や英単語を理解するためにGoogle翻訳には随分お世話になりました(笑)。

Q.7 英語面ではどのような苦労がありましたか?

レポートなどで英語の長文を書かなければならない時、自分のボキャブラリーがあまりにも無く辞書なしでは何も書けませんでした。辞書から新しい単語を習得しても使い方を間違え意味が通じない文になってしまう事も日常茶飯事でした。
ボキャブラリーを増やすために、授業中に意味がわからなかった単語をノートに書き出していました。その後電子辞書で意味を調べ、今後の課題で使えそうな単語であれば積極的にその単語を使っていました。
ライティング力を伸ばすために最初の頃は毎日、または毎週金曜日の夜に英語で1ページ日記を書き、ホストファザーに英文をチェックしてもらっていました。

Q.8 友達面はどうでしたか?

ISECは英語を学ぶための主に留学生のみのクラスとなっているため、オーストラリア人(現地の生徒)と関わる機会がありませんでした。ただ、ISEC内では拙い英語で一生懸命みんなと話し、クラスのみんなが英語を学んでいるという立場から、英語を話すのに恥じらいは一切ありませんでした。ISECには様々な国から来た留学生がいました。初めて海外の友達ができて、とても嬉しかったです。

英語力を伸ばすことに必死だった私は日本人と日本語を喋ることを避けていた時期がありました。出来るだけ英語を喋らなければならない環境を作り、他国の子に積極的に喋りかけ友達を作っていました。既にメインクラスにいる中国人の子と友達になった事をきっかけにISEC外の友達をたくさん作ることが出来ました。

Q.9 ISECで良かったこと、楽しかった思い出などありましたら教えてください。

ISECは学校に慣れるのに最適な環境だったと思います。少人数クラスのため、先生方の目が全ての生徒に行き届いていました。先生方は私達のためにわかりやすい英語で喋って下さり、分からない単語も優しく教えてくれていました。英語が喋れないことが前提のため、みんな優しくしてくれていたのが印象に残っています。
授業内ではゲームやスポーツをしたり、遠足に行ったり、休日にクラスのみんなと出掛けたりする事があり、友達を作りやすく、授業にも楽しく取り組む事ができました。

Q.10 ホームステイでの生活はどうでしたか?

留学を始めた当初は食文化の違いに戸惑いましたが次第に慣れ、食に困る事はありませんでした。私の好みを理解してくれて、毎日美味しい料理を作って貰っていました。一緒に日本食を作ったり、毎日の晩御飯のお手伝いをしていました。ホストファミリー達とは家のプールで遊んだり、海まで散歩したり、色々な場所に連れて行ってもらったりとたくさんの思い出ができました。拙い英語で悩み事を相談しても、親身に聞き入れてくれて一緒に解決してくれました。
また、どんな時でも私の英語力を伸ばすために正しく英語に直してくれて、たくさんの単語や言い回しなど教えてもらいました。常に英語が聞こえ、喋る生活になった事により英語力がグンと上達したと思います。本当の家族の様に私の事を迎え入れてくれたこと、英語力を伸ばしてくれた事、ホストには本当に感謝しています。
ホストが決めたルールにきちんとと従い、ファミリータイムをとても大切にしていたため、ホストファミリーとは素敵な関係を築く事ができました!

Q.11 学校ではISECを修了していよいよ現地クラスに移りましたが、どうでしたか? 最初は色々と大変だったと思いますが、どうやって乗り越えましたか?

ISECに約半年間在籍し、英語や学校、異国の環境にしっかりと慣れた状態で現地クラスに移りましたので、特に戸惑う事なく授業を受ける事ができました。
しかし、誰も知らない現地の子とのクラスで友達を作るのは大変でした。自分から話しかけない限り、向こうから話しかけてくれる事は少なかった様に思います。当時は英語に自信がなく少しシャイだった私にとって、自ら話しかけに行く事は大きなチャレンジでした。でも、一度勇気を出して話しかけてみると、みんな優しく接してくれ、分からない事があれば丁寧に教えてくれました。徐々に自分に自信が付き始めると、自ら話かけることや友達を作るのが簡単になっていっていたと思います。

Q.12 放課後や週末はどのようにして過ごしましたか?

ホストファミリーが車で数時間もかかる遠い所や友達のホームパーティーなどに連れて行ってくれたり、一緒にショッピングに出かけたりしました。また、友達とシティーや近くのショッピングモールなどに出かけすることも多かったですね。ビーチの近くに住んでいたのでビーチ沿いを歩きながら下校したり、放課後に友達と海に行ったりしていました。
高校3年生になり勉強が忙しくなり始めると、休日は宿題をしたり、図書館に行って勉強する時間が増えました。

Q.13 留学生活を通して、どんな成果があったと感じていますか?

3年間、英語の環境にいる事ができ、この留学で確実に自分の英語力を伸ばす事ができました。英語力だけでなく、日本とは違うディスカッションやプレゼンなどが多いオーストラリアの高校では自分で物事を深く考えること、他の人の意見を理解する事の大切さを学ぶことができました。
オーストラリアという多国籍の国で、様々な国の文化の違いを身近に感じ、日本という国を外から見つめる事により、日本の良さに気付かされることもありました。自国を他国から見つめ直す事により、自分の当たり前が他者にとって当たり前ではなく、ありえない事が普通である事に気がつきます。様々な人の価値観と文化の違い、考え方を知ることでき、日本の高校に進学していたら得られなかったこの経験は私の強みになりました。
また、15歳の時に一人で渡豪し、家族と一緒にいられることがどれだけ幸せだったのか気づく事ができました。たくさんの困難に立ち向かい、出来ないと思った挑戦を乗り越えた事により、大きな"自信"を得る事ができ、本当に自分自身が強くなれたと思います。

Q.14 高校を見事に卒業しましたが、これからの進路や夢を教えてください。

オーストラリアの大学に進学します。第一志望の大学に合格する事ができ、そこでコミュニケーションについて深く学びたいと思っています。留学を通してコミュニケーションの取り方の大切さを実感する事が多く、もっともっと知りたいなと思うようになりました。
大学卒業後に何をしたいのか明確なものは決まっていないのですが、英語を使えるようになった以上、オーストラリアで働く、日本で働くなどとは決めず、世界を舞台に自分がやりがいを感じる仕事に就きたいなと思います。

Q.15 最後に、これから留学をする人にアドバイスがあれば教えてください。

アドバイスとして、留学前に英単語の勉強をお勧めします。私が留学をする前もっと勉強しとけば良かったなと思い、ボキャブラリーを少しでも多く知っておく事は本当に大切だと思います。英語での会話が出来ない、文章を書けなかったとしても、ボキャブラリーの多さは武器になると思います。
あとは、やる気です。どんな時でも色々な事に対してやる気を持つ事が大切だと思います。 「自分から話しかけてみよう」「先生に質問してみよう」「友達を作ろう!」など、失敗や恥は自分が思うほど誰も気にしていません。間違えることを怖がってはダメです。英語に自信がなければ、英語を喋れる子に「英語をもっと教えて!学びたいの!」と伝えるなど、いつでもやる気だけは失わずに前向きに頑張ってください。
留学中には、泣くほど辛い大変なことや自分の英語力にがっかりする事などは何回もあると思います。それでもやる気と意欲だけは持ち、自分がなぜ留学しているのかを見失わないようにして下さい! 何があってもやる気だけあれば大丈夫だと思います(笑)! 楽しくて、意味のある素敵な留学生活を送れることを願っています。

取材:2019年12月

留学先
ブライトンセカンダリースクール (Brighton Secondary School)
305 Brighton Rd, North Brighton, SA 5048
Website: brightonss.sa.edu.au

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