アデレードで頑張る人を応援

菊池 哲(アデレードカジノ「North」ヘッドシェフ)

日本人であることを活かして

アデレードカジノ「North」Chef de cuisine(ヘッドシェフ)
菊池 哲(きくち さとし)

アデレードのアイコンの1つでもあるアデレードカジノ。菊池さんはそのカジノの隣に位置するレストラン「North」のヘッドシェフとして、日本人のアイデンティティを大切にしながらもローカルの人達を喜ばせる独自の料理を提供し続けている。

転機
菊池さんが日本を発ったのは10年前。当時から日本で料理に関わる仕事をしていたが、それまでとは違った環境を経験することを考えてワーキングホリデービザを取得。行き先はニュージーランドだった。「英語は全然できませんでした」と語る菊池さんだが、日本食レストランで働きながら英語と仕事の腕を着実に上げていった。

そんなときに人生の転機が訪れた。アデレードの他にもダーウィンやニュージーランドのオークランド、ハミルトンなどでカジノを運営するスカイシティグループが、オークランドのグランドホテルに新たにレストランをオープンすることになった。そのときすでにオークランド郊外の日本食レストランでヘッドシェフとして活躍していた菊池さんはその腕を認められ、唯一のアジア人オープニングスタッフとして採用されたのだった。

日本人であることを活かす
アデレードのカジノへはChef de cuisine(ヘッドシェフ)として3年前に異動してきた。「いずれはオーストラリアへ、と思っていました」という菊池さん。実は最初にワーキングホリデーで行きたかったのはオーストラリアだったのだが、ビザ発給対象年齢の勘違いでオーストラリアを自ら諦めてしまっていたとか。そんな背景もあり、「オーストラリアでさらにやりがいのあるポジションで仕事をする機会に恵まれて嬉しいです」。

菊池さんのコンセプトは自分が日本人であることを活かすこと。日本食を意識しながらフレンチやイタリアンとうまく融合させたコンテンポラリーオーストラリアンを提供している。調味料に醤油や酒、みりんなどを使ったり、のりやいなりを前面に出した料理もある。ただ、うまく融合させるうえで一番大切なことは、ある料理のもつ"枠"を超えながらも、お皿の上では素材それぞれの調和がきっちりととれていることだという。そのため、メニューを考える際は様々な国籍のシェフたちと意見を出し合うこともあるが、それを最後に一つの料理として完成させていくことがヘッドシェフとしての菊池さんの役割でもある。

これから

「『これが食べたくてきた』とお客さんに言っていだけるのが本当に嬉しいです」と語る菊池さん。"ここだけでしか食べられない料理"を目指して作るメニューは季節毎にオントレ、メインともに7-8種類に加えてデザートも。アデレードのこれまでの3年間だけでもその数はかなりのものとなっている。「将来的にはこれまでのメニューを記録としてまとめていきたいですね。そしていずれは自分のレストランも考えていきたいです」。菊池さんは日本の良さをもっと知ってもらいたいという情熱で、これからもオーストラリアの人達を喜ばせる料理を作り続けていく。

North

HP: http://www.adelaidecasino.com.au/Restaurants/North.html

取材:201年6月