オーストラリアのビザ情報

新しいSkills in Demand(SID)ビザについて

角倉卓馬(Takuma Kadokura)
アデレード大学国際関係学部卒業後、オーストラリア国立大学で移民法のGraduate Certificateを取得。
兵庫県姫路市出身、アデレード在住歴14年。MIA会員、MARA登録番号0964518。
[ tkmigration2.com ]

2024年12月7日より、Skills in Demand(Subclass 482)ビザ(以下、SIDビザ)が導入され、これまでのTSSビザに取って代わります。この変更に伴い、移民規則全体が改正され、SIDビザに関連する新しい規定が追加され、TSSビザに関する記述がSIDビザに置き換えられる場合もあります。

 

SIDビザの3つのStream

 

1. Specialist Skills Stream

  • 対象者:ANZSCO職業リストに該当し、年収が135,000ドル以上の専門スキルを持つ申請者。ただし、ANZSCO Major Groups 3(技術労働者)、7(機械操作員およびドライバー)、8(労働者)は除外。
  • 特徴:
    • TSSビザには存在しなかった新しいストリーム。
    • 高度なスキルを持つ移民を迅速に受け入れることで、オーストラリア経済に大きな利益をもたらすことを目的とする。
    • 簡略化された手続きで雇用主が迅速に高度なスキルを活用可能。

 

2. Core Skills Stream

  • 対象者:TSSビザで定められたTSMITに相当する73,150ドルの年収を得る、コアスキル職業リスト(CSOL)に該当する申請者。
  • 注意点:
    • 一部のTSSビザ対象職業はCSOLに含まれず、Core Skills Streamの対象外。
    • 対象外の職業でも、収入基準を満たせばSpecialist Skills Stream、またはLabour Agreement Streamを利用可能。
    • 既存のTSSビザ保持者は、新しい雇用主への変更が可能だが、その職業がCSOLに含まれない場合や収入基準を満たさない場合、雇用主の変更は認められない。

 

3. Labour Agreement Stream

  • 特徴:TSSビザの既存の設定を引き継ぐ。

 

<主な変更点>

A 最低職務経験要件の緩和:
  • これまでのTSSビザで要求されていた2年の経験が、SIDビザでは申請前の直近5年間でフルタイム1年(または相当するパートタイム・カジュアル勤務)に短縮。
B 収入基準の年次インデックス化:
  • Specialist SkillsおよびCore Skillsの収入基準が毎年7月1日に調整される。
  • インデックス化の計算式は法令に明記され、最新の基準額は移民局のウェブサイトに掲載。

 

<永住権(PR)への道筋>
SIDビザ保持者は、ENS(Subclass 186)ビザを通じてPRへの道筋を持つ。以下の変更が加えられた。

  • 職務経験の柔軟化:以前は同一雇用主での勤務のみが対象だったが、SIDビザ下ではオーストラリア国内のフルタイム雇用すべてが対象。
  • ANZSCOコードの柔軟性:4桁コードの一致要件を廃止し、職業グループ全体での適合性を考慮。

 

<雇用主のスポンサー義務の変更>

  • SIDビザに関するスポンサー義務をTSSビザに適用されていたものと同一に。
  • 雇用主が被スポンサー者の雇用終了時に義務を終了できるように規則を修正。被スポンサー者は、新しい雇用主を見つけるために180日(最大365日)を利用可能。

 

新しいSIDビザは、オーストラリアの移民政策に柔軟性を持たせるとともに、経済成長を支える高度なスキルを持つ移民を迅速に受け入れるための重要な改革となります。