オーストラリアのビザ情報

オーストラリアのパートナービザ徹底解説

角倉卓馬(Takuma Kadokura)
アデレード大学国際関係学部卒業後、オーストラリア国立大学で移民法のGraduate Certificateを取得。
兵庫県姫路市出身、アデレード在住歴14年。MIA会員、MARA登録番号0964518。
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オーストラリアでパートナーと共に暮らすためには、「パートナービザ(Partner Visa)」の申請が必要です。この記事では、オンショア(820/801)とオフショア(309/100)の違い、主な申請条件、WAやNTでの注意点、long-term relationshipに該当するケース、そしてSchedule 3の適用リスクについて詳しく解説します。

パートナービザとは?

パートナービザは、オーストラリア市民、永住者、または適格なニュージーランド市民の配偶者(spouse)または事実婚パートナー(de facto partner)が、オーストラリアに滞在・永住するためのビザです。

ビザは2段階で構成されています:

  • 一時ビザ(Temporary Partner Visa)
    • オンショア:Subclass 820
    • オフショア:Subclass 309
  • 永住ビザ(Permanent Partner Visa)
    • オンショア:Subclass 801
    • オフショア:Subclass 100

パートナービザでは、一時ビザと永住ビザを同時に申請し、まず一時ビザが審査されます。その後、2年ほど経過してから永住ビザの書類の提出が必要になります。

オンショア(820/801)とオフショア(309/100)の違い

オンショア(820/801)オフショア(309/100)
申請場所オーストラリア国内オーストラリア国外
一時ビザSubclass 820Subclass 309
永住ビザSubclass 801Subclass 100
申請中の滞在ブリッジングビザにより滞在可発給までは海外で待機。他のビザを取得すれば、オーストラリアへの滞在は可能。

オンショア申請は、現在オーストラリア国内にいる方に適していて、申請中もブリッジングビザで滞在を継続できます。パートナービザを申請すればメディケアに加入できます。

主な申請条件

婚姻関係(Marriage)に基づく場合

  • 申請者はオーストラリア市民、永住者、または適格なニュージーランド市民と法的に有効な婚姻関係にあること。

事実婚(de facto relationship)の場合

  • 申請前の少なくとも12か月間、オーストラリア市民・永住者・または適格なニュージーランド市民と事実婚関係にあること。

ただし、一部の州・準州では「カップル登録(Relationship Registration)」を行うことで、12か月の同居要件を免除することができます。

WA・NTではカップル登録が利用できません

重要な注意点として、西オーストラリア州(WA)とノーザンテリトリー(NT)には、移民局に認められたRelationship Registration制度がありません。

そのため、これらの地域にお住まいの方が事実婚でパートナービザを申請する場合、12か月以上の事実婚関係を証明する必要があります。

Long-term Relationship(長期的な関係)に該当する場合

申請者とスポンサーの関係が「long-term relationship(長期的な関係)」に該当する場合、通常の2段階審査を待たず、永住ビザ(801または100)を一時ビザ(820または309)と同時に審査・付与される可能性があります。

<Long-term relationship の定義>

移民局の定義では、次のいずれかに該当する関係を指します。

  • 3年以上継続している婚姻または事実婚関係
  • 2年以上継続しており、共同の子ども(dependent child)がいる関係

Schedule 3 が適用されるケース(オンショア申請)

オンショアでパートナービザ(Subclass 820)を申請する場合、申請時に有効なビザ(substantive visa)を保持していない方にはSchedule 3 が適用されます。なお、ブリッジングビザはsubstantive visaの定義に含まれないため、ブリッジングビザで滞在している方にもSchedule 3が適用されます。

Schedule 3 が適用される場合、原則としてその要件を満たす必要がありますが、大臣が「特別な事情(やむを得ない理由)」があると判断した場合には、これらの要件を免除してもらうことも可能です。

定義は申請者の状況によって異なりますが、主な条項として次のものがあります。

  • 3001条:最後に有効なビザを保持していた日から 28日以内 に申請しなければならないという規定。
  • 3004条:1994年9月1日以降に不法滞在になった人で、本人の責任ではなくそうなった場合に、特別な事情があればビザを認めるという救済的な規定。

Schedule 3 の要件を満たせずにビザが拒否されるケースも少なくありません。そのため、Schedule 3 が関係する場合は、必ず移民法の専門家に相談することをおすすめします。