Japanese Culture

畳 - い草を使った日本固有の敷物 (from 熊本)

日本でもフローリングやカーペットなどの家が増え、椅子やソファに座る生活が一般的に。核家族化が進むにつれ部屋数も少なくなり、コストもかかることから"障子に畳"といったいわゆる和室をもたない家も多くなりました。しかし、 畳にごろりと寝転んだ時の気持ちの良い感触や鼻先に立ちのぼるい草の香りに 何とも言えない安らぎを感じる人は 現代にも少なくありません。 畳素材の和雑貨や簡易式の畳マットを広げて和空間を楽しむなど、今も尚、愛着を持たれる畳について紐解きます。

畳の構造と歴史

畳とは、 藁を圧縮して作った畳床に、い草で編んだ畳表を張り、畳縁を縫い付けたもの。近年では様々な 化学素材が開発され、 畳にも使用されるようになったが、本来の素材による構造はご覧の通り。



 
畳縁(たたみへり):畳の補強の為につけられる布。色や柄、素材は多数あり、縁なしもある。

 畳表(たたみおもて):良質な栽培い草の茎を織って作られる 。1枚の畳表に4000〜7000本使われる。い草は産地ごとに名称や価格も異なる。

 畳床(たたみどこ):天然素材の藁を使用。

畳は710年頃の奈良時代からあったとされ、はじまりは寝具や持ち運びできる座布団のような座具として使われていた。畳の語源は「畳む」から。 現在のような厚みのある畳が登場したのは平安時代で、室町時代にかけて今のような床材へと使用方法も変わってゆく。しかし当時は特別なもので、一般家庭に普及したのは江戸時代後期から明治時代。よく"たたみのへりを踏んではいけない"と言われている理由のひとつは、畳縁に家紋を入れたりすることも多く、失礼にあたるから。こうして畳は古より受け継がれてきたのです。

先人の知恵が宿る日本の気候に適した優れもの

大切に使えば何十年と長持ちさせることができるといわれる畳。
単に湿気に強く燃えにくい自然素材を利用して昔から作られてきただけではなく、 一畳 で約500ccもの水分を吸収できるなど 驚きの機能性を持っています。

畳の優れた機能性

・冬暖かく夏涼しい(断熱保湿効果)
・乾燥してくると、内部にたくわえた水分を放出し、空気の湿度を調節する(調湿性)
・二酸化炭素を吸収し一酸化炭素にして戻すことで部屋の空気をきれいにする(空気浄化)
・振動や足音、声を吸収(吸音効果)
・転んでも安心(適度な弾力性)
・人が打ち解けやすい(寛ぎ効果)
・い草の香りでリラックス(アロマテラピー効果)
・足のにおいの元になる微生物や水虫の原因菌の繁殖を抑え、人から人への感染をある程度防ぐ天然の抗菌素材(抗菌効果)

基本的な畳のお手入れ方法

畳が傷むのを防止するためにこれだけは知っておこう 。

水拭きは光沢も失われるのでタブー 。畳の目に沿って乾拭きする。
掃除機を強くかけると傷むので、かける場合は畳の目に沿ってゆっくりかける。
年に1〜2回天日干し、または持ち上げて風通しをして余分な湿気をとる。
畳の表が日にやけてしまったら裏に返して使う。
家具の跡がついてしまったら熱いお湯で絞った雑巾をのせアイロンをかけ、風をあてて水分を乾かす。

地域によって異なる畳のサイズ

現在でも畳は部屋の広さをあらわす単位となっている 。畳のサイズは 2:1で、地方によってその大きさは違う。半畳を基準とした正方形の琉球畳もモダンで人気。

京間・本間(191cm×95.5cm)京都をはじめ関西方面
中京間(182cm×91cm)岐阜、名古屋をはじめ中京地方。岩手、山形、福島、北陸、沖縄の一部の地方
江戸間(176cm×88cm)東京をはじめ関東地方と全国各地。
団地間(170cm×85cm)アパートやマンションなどの集合住宅

温かみのある日本の暮らしを受け継いできた畳。 今、改めてその良さが見直されつつあると言われています。日常の暮らしの中でい草のやわらかい感触と香りに包まれてみませんか。

簡易畳マットをオーストラリアで手に入れるには。

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い草の主な産地、熊本県

<熊本県>
九州本島の中央部に位置し、福岡、大分、宮崎、鹿児島の各県と境を接する。2011年3月の九州新幹線全線開業をきっかけに生まれたまれたゆるキャラ「くまモン」が「ゆるキャラグランプリ2011」で優勝したことから大人気に。

人口:179万人
面積:7,409.32km2
県庁所在地:熊本市
オーストラリア姉妹都市:Cooma Monaro (NSW) Yamaga (Kumamoto Prefecture)、Devonport (TAS) Minamata (Kumamoto Prefecture)

熊本の見どころと郷土料理

熊本城
日本三大名城の一つ。名将加藤清正によって築城された熊本の象徴。
熊本市内の中心部にあり熊本城内や周辺には歴史的な建物があり城下町の面影を残す。

水前寺成趣園(すいぜんじじょうじゅえん)
1636年に開園され桃山式回遊庭園で、熊本を代表する名園。四季を通じて美しい眺めを楽しむことができる。  

タイピーエン(太平燕)
熊本県のご当地グルメ。熊本県の中華料理店で見られる麺料理で春雨を入れたスープに、ゆで卵、野菜、魚介類などを炒めた具をのせた料理。熊本県では学校給食にも出る。

いきなり団子
輪切りにしたサツマイモを、小麦粉を練った生地であんこと一緒に包み蒸し上げた、熊本の郷土菓子。
昔はサツマイモを団子生地でくるむだけですぐ作れるものだったため、熊本弁で"簡単に"という意味の"いきなり"が由来。

辛子レンコン
茹でたレンコンの穴に辛子味噌を詰め込んだ熊本県の郷土料理。ご飯のおかずやお酒のおつまみとして食べられる。

英語の熊本市観光情報サイト
http://www.manyou-kumamoto.jp/en/