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Interview

NBCA (日本ブレーンセンター オーストラリア) が今年創業20周年ですが、特別な思いはありますでしょうか?
あと、20年間事業を続けるのに非常にパワーが必要だと思うのですが、20年間事業を継続する為にトップとして何が必要なのでしょうか? その2点を教えて頂けますか?

この20年間、本当に倒産せずにやってこられたのは、やはり「みんなで一生懸命やって行こうね。」 っていう強いエネルギーですよね。

実はNBCAは元々翻訳・通訳の会社だったんです。
だけど翻訳・通訳をやっているうちに、いろんな調査依頼が来た。
例えば花王石鹸さんが、洗剤出すんだけどオーストラリアの洗剤市場はどうなっているか全然資料がないから調べて下さい、と。
そこで歩いている人に、「あなたは週に何回洗濯しますか?」 「その時にはどんなものを使っていますか?」
そういう調査をしデータを取って、分析しまとめて、「オーストラリアでは洗剤をこういう形で使っていますよ」 と花王石鹸さんに出した。
そうすると、花王さんは 「これだったら十分やっていけるね」 って 「バイオセット」 という今でもオーストラリアでよく売れているんですけど、濃縮タイプの洗剤を出すことを決められた。で、花王さんがオーストラリアに来ます。

そうすると、日本から駐在員の方が来たわけですよ。
そこで、「山口さん、秘書がいるんだけど知らない?」って言うから、
「私の知り合いならいますよ。」って声をかけたら、みんな喜んで花王石鹸に来ました。さらに営業の依頼も来ました。そこでふと考えたのが、これって人材紹介ビジネスになるじゃないかと。
そうして、マーケティングリサーチから出店、人材紹介もするようになった。

人材紹介をしていると、今度はだんだん人事の人と親しくなる。
そうすると「山口さん、結婚したての人は仕事していいのかな?」という問い合わせが来る。
最初は私もよく分からないから、専門家に話しを聞いたけど、ある時ビザの専門家が嘘を言った。
怒られるのは私ですよね。これは割に合わないし、自分で勉強するしかないよね、と思って自分で移民法を勉強し始め、それが今のビザの事業につながった。

こうやって有機的につながって、変わってきている。
NBCAをスタートしたときの大黒柱が、当時は翻訳・通訳だった。
その次に人材紹介に発展、次にビザと、ずっと変わってきているんですよ。
 

会社の大黒柱がどんどん変わっていかないとサヴァイブできない。
時代が変わるんだもん。うちが通訳・翻訳そればかりやっていたら当然潰れていると思います。
或いは人材派遣だけやっていたら、潰れていたかも知れない。
日本からパソナが来て消えちゃったり、色んな会社が来ては消えましたからね。

だけどうちは、その時その時のマーケットに合ったものをやっていけたから。
だから今後も、「5年後にはうちは何の会社か分からない」 ということで、十分それは良いと思うし、むしろそうならないといけない。
「我々は去年やったことを今年良しとしてやるのではなくて、去年やったことを否定してもっと良いものを作ろう。」 という考え方になっていこうね、と社員に言っています。
これが組織がある程度大きくなってくると、安定を求めるため保守的になり、そういう考え方の人が少なくなってくる。去年の自分が今年の自分でありたい。
だけどそれは駄目だということで今一生懸命変わり続けている。

これから我々は何を目指すのか。もちろん今ある事業が基本かも知れない。その今ある事業をどうやって否定して改善して、より新しい付加価値の高い、時代にあったサービスをするっていうのが本当に大事だと思っています。

 

今のお話と重なる部分があると思うのですが、組織のトップに立つ人間(経営者)には何が必要ですか?

すごく大切な質問ですよね。
おそらく組織のトップで一番大事なのは、私はリーダーシップだと思います。
「いい企画が出来ました。」 「いい事業案が出ました。」 「じゃあみなさんやってください。」 では駄目なんです。
何かやれば、必ず色んな問題が発生するし、やっぱりそれを誰かが引っ張って行かなくてはならない。
そうなった時に、やはりトップですよね。
いくら良いものがあった所で、リーダーシップ無しには組織は維持できないし、発展しないんですよ。
だからそういう意味では、リーダーシップですね。

2番目に大事なのは、組織がサヴァイブするため、あるいは発展して行くために必要な先見性。
同じことをやっていたら駄目ですよね。同じことをやっていたら必ず競争が発生し、新しい考えを持った人が成功するようになってしまう。
だからサービスっていうのはどんどん進化していかないと飽きられてしまう。
会社は横ばいがないですよね。伸びるか潰れるかだから。

そういう意味ではこれから組織が成長するために、どういう新しいサービスが必要なのかを見つけ、そしてそれを導入する。それなしには多分組織は残れない。
そのためには常にマーケットにどんなニーズが必要なのか、お客さんは何を求めているのかですよね。
どんな不況の時でも、成長している会社ってあるんですよね。逆に、どんな好況な時でも潰れる会社もあるんですよね。同じですよね。それを見つけるのがトップの仕事。

最後の質問なのですが、山口社長の将来の夢は何でしょうか?

いっぱいあります。
新年の誓いに、今年の目標を10個書いているんです。

去年もそれを書いているから、それをいくつ達成できたか採点しているわけです。
だから今年の目標については数値化しているわけ。
2キロ痩せるとか、
ゴルフのオーバーを18位にするとか、
海外旅行は何回するとか、要は数値化して目標を立てているんです。
腕立て伏せを40回だったのを50回するとかね。そうやって目標を決める。だいたい6割から7割は達成している。

それと同時に、中・長期の目標もあるんですよ。

そんな中でひとつ決めたのが10年後20年後になると大きな組織の中で仕事するのではなくて、本当に自分がやりたい仕事をひとつ絞り込む。そしてその仕事を楽しみながら仕事する。

以前は55歳でセミリタイヤって決めていたんですよ。
だけど考えが変わりました。
理由はリタイヤした人、みんな幸せそうじゃない。
やっぱり人は、いろんな人と関わり合って、そして仕事することによって自分も成長し、まわりの人にも喜んで頂ける。やっぱりそれが一番。まだ考えが変わるかも知れないですよ、だけど今はそう思っている。
だから私は一生現役。死ぬまで仕事する。
出来れば仕事の途中で死ねればいいと本当にそう思っています。
だから健康でないといけない。それと、ボランティア活動。

どういったボランティア活動なのですか?

それがまだ自分で見つけ出せていないのです。

今、例えばジャパン・クラブ・オブ・シドニーっていう会員数1400名位の日系では最大の組織の副会長を6,7年やっています。そこである意味、社会貢献はさせて頂いていると思っています。
ただ、それをずっと続けるのか、あるいはもうちょっと違う形でのボランティアか、今それを考えています。
あと5年の内にはそれを見つけたいなと思っています。その見つけたボランティアに、かなり時間を費やしたいと思っています。 

もうひとつは、私は、仕事や人生の色んな大きな問題を抱えたときに、中村天風さんの本を何回も何回も読んだんですね。本当に元気づけられるんです。

私もよく「山口さんに元気づけられて、何々しました」 とか 「元気を貰いました。」 とかいろんな方に言われる。
私ってそういう所があるのかな。実は自分では気がついてないんですけど。

私はその元気を中村天風さんから貰っているから、中村天風さんの漫画の原作者になれないのかなって。
例えばシドニーに住んでらっしゃる 「美味しんぼ」 の原作者 雁屋哲さん。雁屋さんは基本的なストーリーと細かい設定等の原作のみ書いて、絵は別の人が書いているわけですね。

私は鉄腕アトム読んでいた漫画世代で、小さい頃漫画の作者になりたかったんですよ。
だから、家で一生懸命、鉄人28号とか鉄腕アトムとか書いていた。
日本の漫画・アニメは、世界で一番進んでいる、世界に誇れる素晴らしい文化なんですね。

若い人は本読まないので、漫画と言う素晴らしい文化を通して、日本のあんまり元気じゃない、夢もあまりない若い人達に、「そうじゃないんだよ、人生ってこんなに面白いんだよ」という様な元気を与えられる漫画を描けたらいいですね。
それにはどうすれば良いかっていうのは、今年からの私の課題。
著作権がどうなるとか色々あるじゃないですか。漫画の原作っていうのはどういう風に書くのかよく分からないから、一度雁屋哲さんに会ってその辺を教えて頂くとかね。というのが今年の課題かな。
それが少しずつ自分の中で固まりつつある。
何年越しの仕事になるかわからないけど、自分のライフワークにしてみなさんに喜んで頂けるといいですね。
 

今後もっと本を書いていかれる予定もあるのでしょうか?

そのつもりはあります。
多分「自分がいなくてもまわるチームを作ろう」の続編は出そうかな(笑)。
出版社の方からそういうお話が来るかも知れないですね。

楽しみにしています。今回はどうもありがとうございました。

はい。どうもありがとうございました。

インタビュー 2008年5月 シドニーにて
聞き手・写真 倉本貴則