大吉オーナーアンドリュー氏の焼き鳥人生 後編
鶏肉の手配
「大吉」の看板を背負う以上、なるべく日本と同じメニューでやりたい…
日本では材料に、鶏の首と肩の間にある少量しか取れない
『せせり肉』を使う。アデレードの屠殺場や肉屋を回り相談するが、豪州ではソーセージ・ミンチに回される部分で
「いちいち取るのは、作業が大変だから」と、断られる。
それでもなんとか、開店3ヶ月前に業者を見つけた。
日本を出る前、こちらの人にもわかり易く説明できる様、それぞれのネタの仕込み前から焼くまでを写真に収め、アルバムにしたのが効果的だった。
開店2ヶ月前に「少し高くてもお願いします!」と確認。
1ヶ月前も 再確認し、OK。そして2日前に初めて電話で注文。「明後日のオープンの朝に配達して下さい」と依頼。
ところが当日11時を回っても届かない…不安になり業者に電話すると「出来ない!」とあっさり一言。
6時間後に開店を控え「出来ない!」 とは・・・。あまりのショックに頭が真っ白になり、文句も言えなかった。
点火2分で750度まで上がる
「どうしよう?」…急いで家に戻り、メニューを全部書き直し、印刷。
何とか開店に間に合ったが、予定していたネタの一部は用意できなかった。
最初の3ヶ月は、出したいと思った質や味の7割しか提供できず、その後、仕入れる店により肉の質が違う等の事情にも明るくなり、理想を追い求め、月日は流れ、現在はアデレードでも満足のいく味が提供出来るようになった。
理想に到達するまで鶏肉、豚肉、牛肉、それぞれを平均5回、業者を変えた。
食材ばかりでなく、焼き鳥屋の要である焼き台(グリラー)も大変だった。日本では、点火90秒で850度まで上がる大吉専用の焼き台を作る業者がいる。
それと同等の物を作って貰う為に、業者を探すのに一苦労。
最終的に形にしてくれる業者を見つけたが、2分で750度 までしか出来なかった。だが、今ではじっくり焼けるので、こちらのほうが良い、と満足。
そして、オープン
ぶっつけ本番の当日。日本から師匠2人が応援に駆けつけてくれた。
渡豪日程も決まっていた為、「彼らがいる間にオープンしたい!」と切に思い、
行動。彼らが居なかったら、開店はいつになっていたか分からない・・・。
実際、2005年1月14日のオープンの直前まで、工事をしていた。
オープンの前週から、やっと本格的な工事が始まり、
「進んだかな?」と思うと翌日工事に来なかったり・・・
そんな中、ペンキ屋さんだけは、完璧に都合を合わせてくれた。
そして今でもお店の常連さんだ。
また、オープン当初、可能な限り日本と同じものをと考えたが、現在は少しずつ、オリジナルな物を増やし、シーフードやホイル焼き等、メニューにおいても進化している。
将来の夢は?
日本人にとって、馴染みのある「大吉」という言葉 。
しかし、オーストラリア人にとっては、ただの音でしかなく、インパクトが無いので、近い将来、店の名前を替えるつもり。
例えば 「焼き鳥屋」 「YAKITORI BISTRO」。
そして、「寿司」「天ぷら」のように「焼き鳥」をオーストラリアで浸透させるようフランチャイズ化も。
あと、子供ともっと遊ぶ時間が欲しいので、少しゆとりのある生活がしたい。最後は優しい父親の顔を覗かせていた。
Hibiki Magazine 2007年冬(7月-9月)号 より
YAKITORI TAKUMI 匠
Shop 60
55 Melbourne Street
North Adelaide 5006
Tel : (08) 8239-2111


